戦争とソリッドモデル

出典:SOLID MODEL NET
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ソリッドモデルキット

米国においては、1940年代に多くのソリッドモデルキットが販売されています。“fit-the-box”と呼ばれる箱に合わせた縮尺のものが見受けられます。当初のものは、材料を大まかに分けた製品でしたが、大戦末期には、表面加工したものや金属部品が付属したものが見受けられます。この時期は、プラモデルも販売されつつありましたが、多数のソリッドモデルキットが販売されています。[1] 戦争の影響をあまり受けていないように感じますが、次に示すID Model が国策として取り組まれました。

識別用模型 (Identification model)

第二次大戦下においては、商業的な製品の他に政府によって、軍事下の教育に模型が利用されました。 「模型飛行機」(飛行模型)は、戦時下のドイツ、日本の学校教育[2]の中に取り込まれて発展していきました。ソリッドモデルとは、少し違いますが、識別用模型がアメリカやイギリスで作られました。

US NAVY Bureau of Aeronautics Identification model

ID Avro Lancaster.jpg

識別用模型 Avro Lancaster (シリーズF)


このアメリカ海軍の識別用模型ではA~Gのシリーズが確認できる。


識別用ということなので、敵も見方の航空機もシリーズ化されています。縮尺は、1/72です。識別模型なので、脚やプロペラは省略されています。この図面と型紙でどの程度の模型が出来たのか興味のあるところです。
下の図面は日本の飛行機ですが、相当なぞだったのか、機体名は、なんと「SENTO KI」[3]である。つまり、“戦闘機”ということになります。


A-16 Sento KI-001 plan.jpg

A-16 Sento KI-001 patterns.jpg

制作図 A-10 SENTO-KI 型紙 A-10 SENTO-KI 

日本の識別用模型

海軍の協力により、「実体飛行機模型の製作教書」が戦時下において出版されています。その目的は、敵機識別用の模型製作のためとうたっていますが、内容は、相当専門的で系統的な内容になっています。欧米においてもこのような内容に匹敵するものは、ないと思われます。 

「實體飛行機模型の製作敎書」
白木克良着
高千穂書房
昭和19 [1944]
187 p
Text airplane 1944.jpg  目次
アートページ
まえがき
第1章 実体飛行機模型の意義
第2章 実体模型の製作用具
第3章 実体模型用木材
第4章 製作準備工程
第5章 原型工程
第6章 部品製作
第7章 削成及び木地仕上げ
第8章 原型組立
第9章 塗料及び塗装
第10章 ラッカー塗装
第11章 組立完成
文中に 「従来玩具としてしか考えられていなかった実体飛行機模型も、大東亜戦争に入るに及んで有難くも軍の起用するところとなり、----敵機種の識別とその検討に、本模型の持つ効用は大きく且つ広くなって参りました」とあります。

風洞実験モデル

風洞実験モデルもソリッドモデルのカテゴリーには入りませんが、製作手法は、類似しています。戦後の占領下の「模型飛行機禁止令」はこのような模型が対象でした。

Hayabusa Tunnel.jpg
マホガニー製の隼の模型 全幅 54インチ

脚 注

  1. 日本は、この10年ほどあとに国産の製品が売り出されました。
  2. 当時の学年別教材と製作所要時間は次のとおりです。
    *小学1年:ヒコウキ(中・厚紙製の小型滑空機。1時間)
    *小学2年;ひこうき(胴体はキビガラ、翼は厚紙の小型滑空機。2時間)
    *小学3年:グライダー(胴体は細木、翼は竹ひごと紙の小型滑空機。2時間)
    *小学4年(前期):グライダー(同上構造の中型滑空機。6時間)
    *小学4年(後期):飛行機(同上構造、既製プロペラの小型飛行機。6時間)
    *小学5年:飛行機(同上構造、自作プロペラの創作飛行機。8時間)
    *小学5年(補助):滑空機(胴体はキビガラ、翼は厚紙の異型滑空機。2時間)
    *小学6年:滑空機(胴体は細木、翼はリブに薄紙張りの大型滑空機。8時間)
    *高等1年:飛行機(四角胴、創作プロペラ、実物似の飛行機。8時間)
    *高等2年:滑空機(三角胴、高性能を出せる大型滑空機。12時間)
  3. この機体は、零戦のようにも見えますが、零戦については、別にあります。