ソリッドモデルの進化・発展

出典:SOLID MODEL NET
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技術の発展

透明風防

戦前からキットや商業模型では透明風防の利用が見られましたが、日本のソリッドモデルの初期においては、風防のガラス部分だけを銀塗装する手法が一般的でした。透明風防の使用は、その実物感により、次第に流布しました。製作法は、当初は、湯の中で成形する方法が主流でしたが、後に電熱器(トースターを代用)を使った方法へと変化しました。風防の型に熱した塩ビ版を押し付ける手法を「絞る」と呼んでいます。

材料も塩ビ板からアクリル板へと変化しています。また、成形方法も手動から“バキュームフォーム”へと変化しています。

寄木工法 (よせぎこうほう)

瞬間接着剤が一般的になった時点で、材料の欠けや修正を瞬間接着剤で木片を接着することで行う技法が1960年代に出てきました。この方法を進めて、模型自体を小さなブロックで構成していく方法が生まれてきました。この技法によって、大きな機体も薄板でのシェル構造で作成することが可能になったのです。 小武内省三氏の“Super Guppy”は、その代表作です。

Obunai super guppy.jpg
Super Guppy 小武内省三作 1/50

自作デカル

自作デカルには、大きく3つの作成方法があります。いくつかのものは、相当な特殊技術を要するため、一般化には至ってないものもあります。

  • 塗料皮膜カッティング

この手法を最も多用したのは、小武内省三氏です。簡単に言うならば、塗料の皮膜が生乾きのときにカットしてマークとして使用する方法です。接着には、溶剤を使用します。

  • 手描きデカル

デカルの台紙に手描きしたものを使う方法です。

  • プリンターデカル

プリンターを使ったデカルには、インクジェットプリンターを使ったものと熱転写プリンターを使ったものがあります。熱転写は、白色インクを利用できるメリットがあります[1]

材料の進化

ラッカー塗料

1960年代には、硝化綿ラッカーが一般的でしたが、近年、プラモデル用のラッカー塗料を使うようになりました。

田古里パテ (たこりぱて)

東大名誉教授でTSMCの元会長の田古里哲夫氏(故人)が発案したパテです。それまでのラッカーパテとは違って“ひけ”の発生が少なく、木と同じような加工性をもっています。製法は、エポキシ系の接着剤に小麦粉を混ぜて作ります[2]。別名「うどん粉パテ」といいます。現在は、ポリパテに主役の座を奪われていますが、ソリッドモデルの工作法を発展させる要因になりました。

瞬間接着剤

瞬間接着剤は、木工においてもその威力を発揮し、作業時間の短縮に寄与しました。その性質上、衝撃に弱い[3]ので、小さな部品の接着には不向きです。また、アクリルや塩ビ板で作った透明風防を曇らせてしまう問題もあります。 メーカーによっていくつかの種類があります。

プラ板

プラ板:素材はスチロール樹脂(ポリスチレン)。商品名はプラバン。白色と透明があり数種類の厚さがあります。風防内部や脚カバーに用いられるようになりました。

ポリパテ (ポリエステルパテ)

ポリエステルパテは、主剤のパテに少量の硬化剤を混ぜる事によって化学反応を起こして硬化するペースト状の造型材料です。

パテの色や粘度はメーカーによって様々な種類がありますが、使用方法はほぼ同じです。

造型材料としては非常にポピュラーなもので、「盛っては削る」という作業を繰り返して形を作るのが、ポリパテの基本的な使い方です。

人口木材(ケミカルウッド)

ケミカルウッドは主にポリウレタンを使って人工的に木材のような性質を持たせた素材です。
硬さなど色々な種類がありますが、木材のように木目はないので加工性に優れ、環境にも配慮した素材といえます。

脚注

  1. 2009年に熱転写プリンターの個人用モデルは、生産中止になりました。
  2. 仏像修復に使う“刻苧(コクソ)”と同じ発想です。
  3. ゴム系接着剤と合わせて利用すると驚くべき結果を生む。(田中祥一氏)